乾瓦窯。
遼は契丹人の国だけに支配者の好みを反映して独特の形の器が作られた。この皮嚢壺(鶏冠壺)はその一つであり、最も遼らしさの溢れた壺。実用皮嚢を模している。
この型は多く造られた ”取手付下膨れ形” 前の初期の稀少形。何より珍しいのは初見の藍釉。類品を見ない貴重資料。唐三彩の影響がうかがわれ、窯変による局部濃淡藍色が美しい。
当時藍色の原料コバルトは輸入したもので実際、唐三彩に藍色が加わる品は富貴者の注文であり、品質も良く市場価も高い。
おそらく世界唯一の美しいこのような作品が入手できるこの時代に感謝。近年の墳墓発掘による土中からの贈物。ミュージアムピース。北京老骨董商旧蔵品。長年の懇情により、近時譲受ける。
参照:CR-025、CR-016 |