地面に腹ばる姿の二瘤駱駝。首を上げ鳴いており、まさに立ち上がろうとしている。背中には楕円形の絨毯が敷かれ、駱駝の瘤は絨毯にある2つの穴から出ている。鞍の左右には鳥・獣・水注・袋・幾巻の織物が装飾されている。鞍は取り外しが出来る造り。部分的に紅・緑彩が施されている。造形や表情は生き生きとしており、躍動感が溢れている。
唐代の人々は、非常に優れた文化的センスを備えると共に、外国の文化にも深い興味を示した。特に西域の商人達が駱駝で運んできた耳目に新しい物質文化は豪著を好んだ唐代の人々を夢中にさせ、墓中に駱駝の俑を陪葬することが流行した。駱駝の俑が現れるのは北魏時代からで、唐代に一般的な副葬品となった。造形としては中国美術に貫流するリアリズムの精神が遺憾なく発揮された佳品。洛陽収蔵家旧蔵品。
中国では統一帝国が出現した秦漢から隋唐に至るまで1000年以上例外的な時期を除き、国都といえば長安か洛陽に定まっていたわけで、洛陽周辺からの遺物発見は数知れない。
参照 : CK-023 |