吉州窯。
肩部は蓮弁文、裾部は剣先文を。主要部は魚子(ちん珠、真珠)地に線刻により、牡丹唐草唐子文を施し、鉄分を充填する。たくさんの子や孫に恵まれること、早く子供が生れること、子孫が綿綿と続き絶えない事を寓意する吉祥図案。類品を見ない意匠。
いま河北省の南、河南省との境界に磁県という県がある。宋代には磁州と言われたここが磁器の名産地であり、磁州には近くに優れた陶土と多量の石炭を産するので、燃料には石炭を用いた。その製品は華北一帯に販売され、硬質陶器の普通名詞として磁器の名が一般に用いられ、従来の瓷器の名にとって代わった。我国で瀬戸物・唐津物といえば陶器をさすように、産地の名が産物の名になった。宋代製陶業発展の背景には唐代以来飲茶の風習が中国全土に広がり、これに伴なって茶道が盛んになったこととも関係がある。 |