「漢八刀」の彫刻技法を用い、洗練された造形としている。玉器はもともと神や先祖の霊を祭る祭器として、また持ち主の身分や徳を象徴する装身具として発達してきた。しかし後に、祭礼のための玉器である葬玉も作られるようになり、前漢時代には王侯の遺体を玉で覆い尽くすほど葬玉の風習が盛んになった。玉豚は死者の手に握らせた。古来中国では豚は富の象徴とされ、上流階層の人々は富の象徴を手に握ったまま手厚く葬られた。
玉器は青銅器よりもさらに古く、新石器時代からすでに珍重された。鉱物としては軟玉(ネフライト)と呼ばれるものを中心とする。軟玉といいながらこれは字面に反して極めて硬いものであって、その細工は大変に難しいものであった。玉器が珍重されたのはそうした加工の困難さにもよろうが、むしろその見た目や質感が当時の人に与えた印象から生じた、特別な力への信仰が大きかったと推される。死者の口に玉を含ませるのは、再生に関わる呪術的な力を玉が持っているという信仰によるものであろう。
参照 : GK-106 、 GK-802 |