1〜2寸に過ぎぬ翁仲は佩飾用品であって、頭上から足に至るまで、穴が通されている。これは漢代に極めてよく使用された佩飾物であった。
翁仲とはもともと人名であり、安南人。身長1丈3尺で秦の始皇帝の時、彼は中国にやってきた。始皇帝は彼の背丈が普通の人間よりも高いのを見て、宮門の看守に起用。勤務ぶりはまずまずで誰も宮門に闖入しようとしなかったという。後彼が亡くなると始皇帝は銅でもって彼の像を鋳造させ、咸陽宮司馬門の外に据え、看守を続けさせた。
漢代になると宮門を守ることも出来る翁仲は墓も守ることが出来ると考えられ墓前に一対の石像を置くこととなり「守衛」の専門家となった。本品はお守り用置物として製作されたもので、遺品は少ない。
幾世代にもわたる熟坑であり、長年月の撫玩による照りのある褐色の玉肌は深い古意があり、極めて魅力的な品としている。
参照 : GK-049 、 GK-085 、 GK-098 、GK-244 |