戈は殷代中期に始まり、前漢中頃まで存続したが、鉄製武器の普及に伴い姿を消した古代中国の武器の一種。
中国の戦法は古来馬車戦であり、一輌に戦士と介添えの兵士と御者の3人が乗り、戦士は長柄の戈や戟を振り回し、敵戦士の首をはね、鎧甲の札の糸を切り刺して闘った。長いものは4m余を数え、短戈は1m50cm程で、細かく割った竹を20本近く巻きつけ糸で全体を巻き締め、上から朱漆や黒漆を装飾的に塗り分けは補強した丸棒の先端に取り付けられた。玉であることは実戦用でなく、明器か儀杖用に製作されたもの。
刃の部分はチ虎と鳳凰を極薄に透かし彫りし、柄部は刃を銜える態様で瑞鳥と瑞獣を力強く大きく削り出す。差込み部には並列穀文を装飾し、差し込まれる木を固定するため、貫通する2穴が穿たれている。瑞獣の体表には雲文を尻尾には斜線文を刻している。驚く程精微・繊細な刻がなされた戈である。青玉製であり、局部紅泌化している。些かの損傷もない。銅製戈を写しているのであって、スキタイ系の流れの模様でもある。刃の部分を「援」、柄取付部を「内」、下方部を「胡」という。
参照 : DK-027
参照本 : 真蔵 古美術 |