良渚文化。
10節からなる玉琮。下方に向けて幾分窄まる方形状の四角に怪獣の目と巫の小さな目。「大眼小眼紋」が刻される。（合計10ヶ）
玉琮は最高権力者だけが持つ重要な祭器であり､これ程の品は江南の王者が用いたものであろう。祭器である玉琮がどのように用いられたかについては､未だに謎が多いが古くは神の宿る場所とされたと考えられている。中国古代の宇宙観である「天円地方（天は円く地は四角い）」
の 「地」をあらわし、中央の円孔を通じて「天」と「地」の神霊が往来する祭器と見られている。琮は今から5000年ほど前に長江（揚子江）か流域の良渚文化に出現し､高さが低くて獣面文の精緻なものから次第に長大で節の数が多く､獣面文の簡略化したものに変化していった。獣面文が精緻であることにより、本品は中間的な作品と考えられる。円孔の中央部で､両端から穿孔した削りのズレが見られる。褐色となり風化状況の混じる深緑色玉で作られている。工匠の優れた獣面・筋文の刻は極めて鋭く、存在感有る大きさと共に魅力的な品にしている。完成されるまでにどれほどの時間と労力が費やされたか想像に難しくない。
良渚文化はBC2500年ごろ姿を消した。原始社会にあって玉器は既に精神の領域の中で人の目をくらませるものとなっており､特殊な器物であった。
上海著名玉収蔵家旧蔵品。
参照 ： GK-153 |
