一匹は全身を一匹は上半身のみ砂潜りで彫出した相対するち虎を表現する玉具剣の衛にまま見られるパターン。青玉製。珍しいのは、表面のみ金を塗っている事であり、腰に刺した剣の輝きは、目を射たと思われる。恐らく刀身も同様の仕上げをしていたであろう。威圧感十分な剣であった事と想像できる。全体に鉄分質の多い土壌にあった模様で鉄錆が付着する。玉に金を塗る事は地域的文物との関連性があろうが、刀という殺傷武器でありながら高い装飾性を持ち保持者の心映えが想像できるようだ。漢代の皇帝は功績のあった大臣や外国の使節によく玉具宝剣を下賜していることが知られる。衛が剣の装飾品であり、穴に華帯を通し剣を下げる為のものであることがわかったのは、清代末年の玉器専門家呉大澂でもわからず、その後の発掘状況から理解されたという不思議な品。
参照 : GK-056 、 GK-086 |