景徳鎮窯。
胴面一杯に珠取り龍を装飾、力強く薄彫りしている。胴をくねらせ、火焔珠を負う龍の姿は生気溢れる筆勢で見事に表出され、動感に溢れ、隙の無い空間を埋める文様構成。確かなデッサン力は元青花の出現を予感させる。器形は端厳堂々の形姿である。彫りの深浅に従って釉が普通の青色と違い若草色の濃淡を生じ、装飾効果を上げている。全体に貫入。類品は未見であり、優品である。
宋磁は単なる美しさばかりでなく、これを生んだ高い強い精神があり、宗磁の持つつきつめた心、張りつめた氷のような切実さ、見るたびに心の隅々まで洗い澄ます様な清らかさに永遠の新しさがあるといえよう。それが強く永く我々を牽きつけるのだ。宋代の人々は現実の生活に対する楽しみを求め薄葬を主張、政府は厚葬の禁止を明文化し、宋代墓に副葬される器物は漢代や唐代のものよりはるかに少なくなった。
香港著名宋磁収蔵家旧蔵品。 |