景徳鎮窯。
いわゆる「太白尊」と呼ばれる形の瓶。口は短く作り、口縁端部は折り返し、体部は半球形で、底は平底。こうした形の瓶には蓋を伴わないものが多く、おそらくコルク状の栓が付けられ、酒瓶もしくは油瓶として用いられた。
胴には唐子蓮花文が一面に刻花で表され、余白には櫛掻文が施され、前後に立姿の唐子が表現される。緻密な線彫り文様である。釉調は淡い空色を呈しているが、彫られた文様の部分には釉が溜まり青が濃く、影青といわれる効果が著しく美しい。出光美術館蔵「青白磁刻花牡丹唐草文瓶一対」、サンフランシスコのグランデージコレクションに同形の作品が蔵されているが、唐子はおらず唐草文のみ。景徳鎮でも特に優品を製作した湖田窯の作品。
太白尊と呼ばれるのは清朝の磁器類で宋代のこれらについてはそう呼ばないが、正確に器形を表示しようとするとこの称が良いと思われる。古く遡ると漢代の灰陶にこの形の大作があり、宋代にはこの変形というべき吐魯瓶がある。類例の稀少な珍品。 |