定窯。
定窯白磁は片切彫りの文様表現に始まり、同時期もしくは少し遅れ印花模様が行われている。素焼きの印模に押し当てて器体表面に文様を写し取る。鍔状縁には雷文、一段下には牡丹唐草文を巡らし、平内面には波文と双魚を完璧な抜けで表わしている。
伏せ焼のため口縁部は露胎(中国では芒と呼んでいる)。器形も厳正で、図様も細部まで明確に表れているのは定窯の胎土が粘り気を持ち、細密であるのと、牙白色の釉が薄く掛かっていることによるのであろう。宮中の御器に相応しい遺品。型押文様は片切彫による文様よりも類が少なく、特別な意匠の製品を注文生産する事から始まったと考えられている。二尾の魚もまた鴛鴦と同様に男女の情愛の深さを象徴しており、吉祥図柄。「伏焼」にする技法は11世紀定窯が始め、この技法により薄手の器を幾つも一度に重ねて焼けるようになった。ヘタリを防げるこの窯積め法は重要な技法である。
参照 : CW-020 |