淡緑色の地に、3ヶ所同心円濃淡紺ガラス、その間には同色三ヶづつの小円を貼り付けたトンボ玉。戦国時代(BC5〜3)に中国にはトンボ玉が出現し、それが中国ガラス史の始まりとなる。文様を玉の表面全体に装飾したものが多く、古代のトンボ玉の中でも最も美しい意匠をした玉類であり、その技巧も驚くほどの精巧さを見せる。中国製のトンボ玉には西アジアやエジプトのトンボ玉には無いバリウムや鉛が多量に含まれていることが特色とされる(例外も有る)。
BC433死去した「曽侯乙」の墓からは青色同心円文様の小型トンボ玉が出土している。全体のあわい白濁風化が味わい深く、水につけると鮮明な原色を表わす。戦国から漢代にかけガラスの利用はそれ程拡がった様子はないが、青銅器の象嵌の材料とされたり帯鈎や壁に嵌め込まれたり、壁・j・蝉・豚が作られたりと玉に近い扱いがなされている。
現在、かってのガラス東漸説は覆され、中国では紀元前11世紀西周時代にすでに鉛ガラスを発明していたことが明らかになっている。 |