ドーナッツ状の内区に浮彫の神仙・獣をぐるりと配した鏡。 いずれも現実世界の生き物ではなく、神仙の住まう天上界の霊獣たちであり、漢代の人々が死後に住みたいと願望した憧れの理想世界の表現である。四神思想が次第に神仙思想に移り変わっていく過渡期にあたる時期の鏡で、西王母を中心とした神仙思想の表現は当初は中心人物である西王母自体をほとんど書かずに、周辺の霊獣たちからその存在を連想させるような形で行われていた。