獣鈕を中心に6頭の瑞獣と葡萄を円圏に、外区には四角に鳥と葡萄を外周には唐草文を配した打ち出し銀板を方形枠に収める。盛唐期に入っての作品。
漢式鏡は基本的にほぼ円鏡に限られていたが、初唐後半期の海獣葡萄方鏡以降は円鏡以外の鏡縁形態(方形・花稜形)を持つ鏡が大幅に増加してゆく。漢式鏡の円形には単に顔を写す上での便宜という以上に、天円(丸い天)を象徴的に表すという重要な意味が込められていたが、隋・唐以降はそうした思想性に縛られずに鏡の形を選択する趨勢が始まったことを示している。方圏でなく、円圏は珍しい。
参照 : DK-078 |