皮袋形状の胴面中央には獅子を厚肉浮出し、地は鳥唐草文繋ぎ魚子で埋める。把手は龍頭で、接続部は龍頭を装飾。鎖で繋がれた傘型蓋が付く。獅子と鳳凰の眉・眼は鍍金がされる。全体は銀の鍛造であり、獅子・鳳凰頭などは裏側から叩いて表にその形を突出させたもの。隅々まで神経の行き届いた成形法や表情・動きが表現された文様、さらに斬新な意匠構成など、唐時代盛期の優れた造形感覚と高度な技量がうかがわれる佳品。獅子の姿はインドに由来に、仏教が中国に伝わってきたことと密接な関連がある。東ローマ・インドと中国の文化交流の所産であろう。
西の世界の舶来品を財産に持つ事が、唐朝において王侯貴族たちの富を争う上での流行となった。
参照 : DK-399
参照本: 錯鼎透盤ー金銀工芸芸術 |