盤上に魚を銜えた朱雀であろう鳥を置く。背中で左右に開く翼の上と胸には小鳥が装飾され、翼の中央には透かしが施され、香がたゆたう香炉。羽根には鏨で羽毛が刻される。盤の内面以外は厚い鍍金が施される。魚と小鳥を共に表した文様は新石器時代の彩陶にも見られ、古代から富を獲得することに繋がるという吉祥の意味を持っていたと考えられ(又、男女の合歓を象徴するという説もある)、魚を銜えた鴨の「雁魚燈」も知られる。また、「一鷺食魚」は「十多十余」と読め、富が多くて余る程ある意で大吉のめでたい事を表す。
戦国時代に至って生活水準の向上により、未だ上層の人々に限られたことではあるが、座右に置く香炉の遺品が俄かに増えた。これに焚く香は漢の特産の絹などと交換に遥か西方から輸入された。前漢の初めは非常に高価で皇帝と諸侯王だけが楽しむことが出来た香も、中期になると香を焚く風習がより広く貴族階層に流行した。
参照 :DK-254
参照本 :
・平凡社版 中国の陶磁@ 古代の土器
・悠久の美 中国古国家博物館名品展
・TREASURES FROM THE HAN
・誕生!中国文明 |