鸚鵡を模った奇抜な形のこの杯は白磁・青磁の陶磁が知られるが、銅製は初見。唐時代吉鳥として鸚鵡や鸚哥は飼育・愛玩された。爪の表現を始めとし、全体鋭利精巧な造りは陶磁には求められないものであり、鍍金と共に唐代工芸の優品としている。銃や銀器同様、ササン朝やソグドの工芸品の影響が見られ、ソグド人の製作による可能性が高い。当時流行の形の一つであったことがわかり、やはり唐の象形杯の風習を受け継いだものであろう。「器物百年にして精霊を宿し、人を化かす」 とはよく言った事で、千数百余年経った品には妖しい魅力がたっぷり宿っているといえよう。
動物形象杯は遠くアケメネス朝ペルシャ(BC550〜BC330)で造られた銅製・金製有翼ライオンリコトンが知られる。
参照 : CC-095
参照本 : 神品とよばれたやきもの 宋磁展 |