頭を突き出し後足で踏ん張る亀鈕印章。官吏に任命されると職印と綬を拝受して身に付ける 「印綬を帯ぶ」のは官に就くことであり、官を辞せば「印綬を解く」のである。官を辞すと公印はお上へ返戻し、その人が死去すれば生前使用した私印とかっての官職名を刻して一緒に埋葬した。この時代の印の重さは到底現今の比ではなく、公印を紛失して誅殺された例は史記や漢書に書かれている。
印面は「m弘」。「m」は姓、「弘」は名。「之」は助詞の「の」で、印文を四文字にしてバランスをとるために加えたもの。私印は官印に比べ数が多いが、本印はその中でも技巧を凝らした贅沢な造り・鍍金であることで、所持者が裕福であったか身分の高いものであったことの証左である。
参照 : DK-084 |