唐時代には、我国で練り薬を入れて家々にあったような蛤の殻を利用した盒がある。漆による装飾を加えたものであるが、これはその形を銀器に写した一例。円盒・八花形盒に比べると極めて数は少ないもの。当時は流行りの器形であったのであろう。脂粉を容れて箱中に収めた女性の用具。細かい魚子地に宝相華文と鳥を打ち出しで表わしたいかにも唐らしい意匠。合わせ目で連接して開閉できるように作られている。樹枝に止まる双鳥と瑞獣が表わされ、鍍金により婦好の装身具に相応しい華やかさが巧みに演出されている。
参照 : DK-193 |