戦国時代以来千年以上続いた鈕を中心にして同心円状に構成する鏡の文様が、8世紀半ばを境にして、鏡背をひとつの画面にみたてた絵模様に変わっていく。通称月兎図といわれる鏡。
月中で薬臼をつく兎。五百尺の高さを持つ桂樹、げいの夫人で西王母から賜けられた仙薬を夫から盗みとり月に逃れる嫦娥など、月にまつわる神話をまとめて一図としたもの。
樹下にうずくまるのは、月を食べて生きるがまがえる。側面が段をつけて造られていのは珍しく力強い魅力ある鏡としている。鋳上がりも良い佳品。円鏡はまま見られるが八陵鏡は稀少で上手品。 |