中国の戦法は古来馬車戦であり、戈や戟を操り戦うものであった。しかし北方の匈奴など遊牧騎馬民族との接触は騎馬戦法をもたらし、接近戦に際して剣が普及する。直接わが身に及び、身を守るものであるだけに、鋭利で強靭な名剣が誉められ、それに関する逸話も多い。
一般的な剣は握柄部は青銅で糸を巻いて太くし、掌にしっかり納まるようにしたが、本品は青玉で造られた上手品であり稀品。剣首には千龍を剣鐔には千龍を深く陽刻、片面は獣面を陰刻する。玉の飾りのある剣は「玉具剣」と称され剣の華麗さと高貴さを際立たせ美しい玉具剣を身につけることは地位の高さを表すものであった。
漢代の皇帝は、功績のあった大臣や外国の使節によく玉具宝剣を下賜している事が記録にも残されており、本品もそのような品であったろう。銅刀部は全体錆。 |