景徳鎮窯。
胴面には蓮池水禽図、首の上部は芭葉文・蓮弁文、下部はラマ式蓮弁文と空間を埋める。力強く・かつ精緻な筆遣いが力強く溢れる形とよく適応している。青花技法草創期の活力を具現した如何にも元時代らしい雰囲気を持ち、文様構成・釉肌・発色など、完好な仕上がりを見せる。水禽文は魚藻文などと共に元の青花磁器に多用されたモチーフの一つで当時華南で流行していた民間絵画との関係が指摘されている。人気図柄であって市場価は高い。
玉壺春の器形はイスラム圏好みではなく、したがって伝統的な穏やかな絵のつくことが多い。濃いだみの塗り込め・淡い藍のぼかし・それに濃い点描の散しという三つのテクニックを自由自在に操ってコバルト唯一色で描いたとは思えぬほどの出色の出来映えを見せ、八面取りが一段と品格を高めてもいる。恐らく1340年代初めの作品。軽量である。
近時南昌郊外窖蔵(穴蔵)出土。 |